留学経験者の声に振り回されない判断軸
RYUGAKU AGENTは海外大学院修士号を取得を目指すハイクラス社会人向けに出願対策やIELTS対策を行っています。
出版問題集:IELTSスピーキング演習100
出版問題集:IELTSライティングTask2演習100
1. なぜ経験談はありがたいけれど危険なのか
海外修士号やMBAを目指すとき、先輩やネット上の体験談は貴重な情報源になります。「実際に挑戦した人の声を聞けるのはありがたい」と感じる一方で、「あの人が失敗したなら、自分も無理かもしれない」と不安になることはありませんか。
体験談はその人にとっての真実ですが、それがそのままあなたにとっての真実になるとは限りません。価値観や環境が違えば、同じ出来事でも意味はまったく変わるのです。
この章では、経験者の声を参考にしつつも振り回されないための「自分だけの判断軸」を作る方法をお伝えします。経験談の波に飲まれることなく、あなた自身の挑戦に集中できるよう一緒に考えていきましょう。
2. 振り回される理由:体験談の3つの落とし穴
留学経験者の話は参考になる一方で、聞けば聞くほど不安が大きくなることもあります。それは、体験談にいくつかの「落とし穴」が潜んでいるからです。ここでは、挑戦中の心を揺らしやすい3つの落とし穴を見ていきましょう。
✅ ① 極端な成功・失敗談が目立つ
ネットやSNSでは「MBAで年収が3倍になった」「留学は時間とお金の無駄だった」といった極端な体験談が多く見られます。このような話はインパクトが強いため印象に残りやすいですが、あなたの挑戦にも当てはまるとは限りません。
✅ ② 語り手の立場や価値観が違う
既婚・未婚、文系・理系、転職希望・社内昇進狙いなど、状況が異なるのに「この人が失敗したなら自分も」と感じてしまいがちです。「誰が、どの立場で語っているか」を見極めることが重要です。
✅ ③ ネガティブな声は強く印象に残る
心理学的に、人はポジティブな情報よりネガティブな情報に敏感です。そのため、「留学は意味がない」といった声は、あなたの挑戦へのモチベーションを一気に削ぐ力を持っています。
📖 セルフチェック
最近見た体験談で、冷静に参考にできたものはどれですか?
その人の背景は自分と似ていましたか?
3. 経験談を「事実」と「解釈」に分けて読む視点
留学経験者の体験談は、その人が見て感じた世界です。だからこそ、あなたがそのまま受け取ると、「私も同じように成功(または失敗)するだろう」と錯覚しやすくなります。しかし、その話の中には「事実」と「解釈」が混ざっていることが多いのです。
✅ 「事実」と「解釈」を見極める
例えばこんな体験談を見たとしましょう。
「〇〇大学の授業は毎週プレゼンがあって本当に大変。英語力が足りない日本人には無理だと思う。」
事実:「〇〇大学では毎週プレゼンがある」
解釈:「英語力が足りない日本人には無理」
授業内容という事実は誰にとっても共通ですが、「無理だ」という解釈は、その人の価値観や状況に基づいています。
✅ 「事実」だけを参考にする
体験談からは、まず「何が実際に起きたか」を取り出しましょう。解釈部分はあなたに合うとは限らないので、鵜呑みにせず、自分の視点で再評価することが大切です。
📖 ワーク:情報分解トレーニング
最近読んだ体験談を1つ思い出し、以下のように分けてみてください。
事実:客観的に確認できる内容
解釈:語り手の主観や意見
これを繰り返すと、情報に振り回されにくくなります。
4. 自分の判断軸を作る3つの問い
体験談は参考になりますが、最終的に決断するのはあなた自身です。そこで大切なのが、他人の価値観ではなく「自分の判断軸」で選ぶことです。そのために役立つ3つの問いを紹介します。
✅ ① この体験談の価値観は私に合っているか?
話している人は、どんな価値観を持っていますか?
例:「年収アップが最優先」なのか
例:「現地でのライフスタイル重視」なのか
その価値観があなたの目指すものとズレているなら、その意見はそのまま参考にする必要はありません。
✅ ② 私の留学の目的とこの人の目的は同じか?
その人は何のために留学したのでしょうか?
例:「転職のため」
例:「研究のため」
あなたの目的が違えば、体験談の評価基準も変わります。
✅ ③ この情報は今の私の決断に本当に必要か?
体験談の中には、今のあなたに必要ない情報も含まれています。
「この話は、今の自分のフェーズで考えるべきことか?」
と問いかけてみましょう。
📖 ワーク:私の判断軸3行メモ
例:「私はキャリア転換のためにMBAを選ぶ」
例:「私はAI研究で現場に出たいから修士号を取る」
この3行があなたの迷いを減らす“軸”になります。
5. 経験談より大切な「自分の経験を積む」
どれだけ多くの体験談を読んでも、それがあなたに当てはまるかどうかは実際にやってみなければ分かりません。 経験談はあくまでヒントです。本当に自信につながるのは、あなた自身が積み上げた小さな行動と経験です。
✅ 「聞く」より「試す」を増やす
経験談を読む時間を減らし、その分小さな行動に使ってみましょう。
例:オンラインで現地の教授に問い合わせてみる
例:志望校の模擬授業やウェビナーに参加してみる
例:実際に出願エッセイの1行目を書き始める
✅ 行動から得られる確信
実際に一歩踏み出すと、「思っていたほど怖くなかった」「意外とできる」と感じられることが増えます。これは、どんなに多くの体験談を読むよりもあなたの判断軸を強める力になります。
📖 実践ポイント:聞く→試す1週間チャレンジ
1週間、体験談を読む時間を1日30分に制限し、代わりに行動を1つ積み重ねてみてください。その小さな一歩が大きな自信につながります。
6. おわりに:経験談をヒントに、自分の道を歩む
留学経験者の体験談は、挑戦を始めるときに貴重なヒントになります。しかし、それはあくまでも「その人の人生における真実」であり、あなた自身の挑戦ではありません。
他人の声に影響を受けすぎると、知らぬ間に自分の判断基準が揺らいでしまいます。だからこそ大切なのは、自分だけの判断軸を持つことです。その軸があれば、どんな意見を聞いても冷静に「これは私にとって必要かどうか」を見極められるようになります。
そして何より、自分で一歩を踏み出し、小さな経験を積み上げることでしか見えない景色があります。体験談をヒントにしながらも、あなた自身の挑戦を、あなた自身のペースで進めていきましょう。
0コメント