停滞する国内大学、加速する海外大学

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はじめに

「なぜ日本の大学は世界で存在感を失い、海外の大学は存在感を増しているのか。」―これは進学を考える高校生や、学士号を取得した後にキャリアアップを狙う若手社会人にとって、避けて通れない問いです。近年の世界大学ランキングを見れば、国内の名門大学であっても順位を下げ、逆にアジアをはじめとする海外の大学が急速に台頭しています。しかも、学費やランキングが同等であっても「日本語で学位を取る」のか「英語で学位を取る」のかで、その後のキャリアの広がりには大きな差が生まれるのが現実です。本稿では、「停滞する国内大学」と「加速する海外大学」の実情をデータと事例をもとに整理し、これから進路を決める高校生や、次の一歩を踏み出そうとする若手社会人に向けて、学びの舞台をどう選ぶべきかを考えます。


国内大学の停滞

近年、日本の大学は「世界における存在感の相対的低下」が指摘されています。QSやTHEといった国際的な大学ランキングを見ると、東京大学や京都大学といったトップ層は依然として上位に名を連ねていますが、アジアの舞台に目を向けると、シンガポール国立大学(NUS)や中国の清華大学・北京大学に抜かれ、かつての圧倒的な地位は揺らぎつつあります。特に顕著なのが「国際性」の指標です。外国人教員の比率や留学生数、英語で提供される授業の数などで日本の大学は低スコアにとどまり、そのことが総合評価の足を引っ張っているのです。

研究力の面でも停滞が見られます。1990年代、日本の論文数と被引用数は世界でもトップクラスでした。しかし現在では、国際的な論文シェアが中国や韓国に大きく追い抜かれています。その背景には、研究費の削減や若手研究者のポスト不足があり、才能ある人材が海外へ流出する「頭脳流出」も深刻化しています。研究成果が十分に積み重ならなければ、当然ランキングにも影響が及びます。

さらに国内の社会的要因も無視できません。少子化によって大学進学者数は減少し、多くの大学が経営に苦しんでいます。地方の私立大学の中には定員割れが常態化し、教育や研究に十分な投資を行う余裕がなくなっている例も少なくありません。こうした悪循環が、国内大学の国際競争力をさらに削ぐことになっています。

つまり、日本の大学は「教育や研究の質が急激に下がった」というよりも、世界が加速する中で「取り残されている」という表現が適切です。グローバルな競争において、日本の大学は停滞し、世界の舞台で存在感を維持することが難しくなっているのです。


海外大学の加速

一方で、日本の大学が停滞している間に、海外の大学は着実に評価を高めています。特に勢いが目立つのがアジア諸国です。シンガポール国立大学(NUS)はQS世界大学ランキングでアジア1位を維持し続け、清華大学や北京大学といった中国の名門校は世界20位以内に入り込むほど存在感を強めています。韓国のソウル大学やKAIST(韓国科学技術院)、さらにはマレーシアの大学までが急速に順位を上げ、もはやアジアの大学は「東大・京大の後塵を拝する存在」ではなくなっているのです。

この背景には、政府による大規模な投資と国際化戦略があります。シンガポールや中国では国家プロジェクトとして研究費を潤沢に投入し、世界的な研究者を招聘する仕組みを整えてきました。また、授業の多くを英語で提供することで留学生を積極的に受け入れ、学生の国際交流を日常化しています。その結果、学内の多様性が高まり、研究の共同執筆や国際的な学会発表の機会も増加。ランキング指標に直結する「国際性」「被引用数」が大幅に改善されました。

さらに注目すべきは、比較的若い大学の台頭です。例えばマレーシアのサンウェイ大学や香港科技大学など、設立から数十年しか経っていない大学が、QSやTHEのランキングで急速に存在感を増しています。これらの大学は、歴史や伝統で勝負するのではなく、最新設備への投資やグローバル企業との連携を通じて、即戦力となる人材を育てる教育を展開しています。

こうした動きは、単なるランキング上昇にとどまりません。英語で学ぶ環境、国際的なネットワーク、実務につながる教育によって、卒業生の多くがグローバル市場で活躍できる力を備えるようになっています。つまり「海外大学の加速」とは、単なる順位の上昇ではなく、世界の若者にとって実際に魅力的でコスパの高い選択肢になっていることを意味しているのです。


学費・ランキングが同等ならなぜ海外大学の方がコスパが良いのか

国内大学と海外大学を比較するとき、多くの人がまず注目するのは「学費」と「大学ランキング」です。確かに、アジアの一部の大学は日本の国立大学とほぼ同じ、あるいは少し高い程度の学費水準で学ぶことができます。また、ランキングにおいても国内の中堅大学と同等か、むしろ上位に位置する海外大学が増えてきています。では、条件が同じならどちらを選んでも同じかというと、答えは「ノー」です。その理由は「学ぶ言語」と「学位の通用度」にあります。

日本の大学の多くは授業の中心が日本語で、学位も基本的に日本語ベースです。一方、海外の大学、特にアジアや欧米の多くは授業を英語で提供しており、学位も英語で発行されます。これは就職や進学の場面で大きな差になります。たとえば、同じランキング水準でも「英語で学んだ修士号」は国際企業や海外大学院に直接つながるパスポートになるのに対し、「日本語で学んだ修士号」は国内市場にしか通用しにくいという現実があります。

つまり、学費とランキングが同じでも、日本語で取得した学位は国際的なリターンが限られるため、相対的にコスパが悪いのです。逆に、同額を投資して英語で学位を取得すれば、キャリアの選択肢は国内外に大きく広がります。マレーシアや台湾の大学などは、年間100万円台で学べるうえ、英語で学位を得られるため、国内の地方国立大学と比較しても「将来の投資効果」は圧倒的に高いといえるでしょう。


高校生・若手社会人への示唆

ここまで見てきたように、国内大学は停滞し、海外大学は加速しています。そして、学費やランキングが同等であっても、日本語で学位を取得するのか、英語で取得するのかで、将来の選択肢に大きな差が出ることも確認しました。では、これから進路を考える高校生や、学士号を国内で取得済みの若手社会人は、どのように動けばよいのでしょうか。

まず高校生にとって大切なのは、「大学選びを偏差値やブランドだけで判断しない」という視点です。国内大学に進むこと自体が間違いではありませんが、その後に海外留学や国際的なキャリアを視野に入れるなら、今から英語力を磨き、情報収集を進める必要があります。たとえば「英語で授業を受けられる学部」や「海外大学とのダブルディグリー制度」を持つ国内大学を選べば、国内にいながら国際的な学びの土台を築けます。

一方で、若手社会人にとっては「学士は国内、修士は海外」という戦略が非常に合理的です。国内の学部教育で基礎を固めつつ、修士課程を海外で履修すれば、英語力・研究力・国際ネットワークを同時に手に入れることができます。実際、海外修士を持つことで外資系企業や国際機関への道が開けるケースは少なくありません。しかも奨学金制度や企業派遣の支援も充実しており、費用面のハードルは以前より低くなっています。

要するに、高校生は「未来のキャリアに直結する学び」を意識して大学を選ぶべきであり、若手社会人は「国内学士+海外修士」というキャリア戦略を取ることで、限られた投資から最大のリターンを得られるのです。進学や学びの選択は単なる学歴ではなく、将来を切り開く最強の武器になり得ます。

「停滞する国内大学」と「加速する海外大学」という対比は、単なるランキング上の現象ではなく、進路やキャリア設計に直結する現実です。学費や評価が同等であっても、日本語で学位を取得するのか、英語で取得するのかによって、その後の可能性には大きな差が生まれます。国内で安定を求める道もありますが、グローバルに学び、英語で学位を得ることは、将来のキャリアにとって強力な投資です。高校生にとっては大学選びの基準を広げること、若手社会人にとっては海外修士を選択肢に入れることが、自らの未来を切り開く第一歩となるでしょう。

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